介護保険サービスとは|種類ごとにサービス内容を一覧で紹介
疾患やケガなどによって自力での生活が難しくなった際には介護が必要になります。介護は日常生活をサポートするためにするものです。在宅介護の場合には家族が介護を担当することになりますが、はじめての介護の場合にはスムーズに進まず、ストレスに負けそうになるでしょう。負担を最小限にして介護を進めるために、介護事業所の力を借りることも多々あります。また入居した介護施設で介護サービスを提供していない場合、他の事業者による介護サービスを併用することも可能です。
では具体的に介護保険サービスにはどのような種類があるのでしょうか。この記事では介護保険サービスの種類と概要、どんな困りごとを解決するのかなどの情報を紹介します。
大手介護専門学校にて教職員として12年勤務し、約2000名の人材育成に関わる。その後、その経験を活かし、認知症グループホームや訪問介護、サービス付き高齢者向け住宅などの介護事業や、就労継続支援B型事業所や相談支援事業所などの障がい福祉事業を運営。また一般社団法人日本介護協会の理事長に就任し、介護業界の発展を目指して活動中。
介護保険サービスとは
介護保険サービスとはその名の通り、介護保険を用いて使えるサービスを指す言葉です。利用者の負担は1~3割で済みます。在宅介護や施設での介護に介護保険サービスを組み合わせることで、介護担当者の負担を減らせるのです。
介護保険サービスは介護保険制度とともにスタートした
介護保険サービスは2000年の介護保険制度成立とともにスタートしました。日本は超高齢社会といわれ、今後も高齢率は高まっていきます。
元来、親の介護は子どもが請け負うのが常でした。しかし費用を含めて1世帯で背負うのは大変です。そこで介護を社会全体で支えていくために、介護保険を用いてサービスを利用できるようになりました。
介護は精神的にも肉体的にも疲弊してしまうものです。そこで外部サービスを利用したいものの、金銭的な余裕があるわけではありません。介護保険サービスを利用することで、1~3割負担でサービスを利用できます。
介護保険を用いるための2種類の条件
まずは介護保険を使うための手順をご紹介しましょう。介護保険を使うための前提条件は2種類あります。1つ目が65歳以上で要支援・要介護認定を受けていること。もう1つが40~64歳で特定疾病を患っており、かつ要支援・要介護認定を受けていることです。特定疾病とは以下16種類の疾患を指します。両者ともに要介護・要支援認定を受けている必要があります。
特定疾病
1 | がん(末期) |
2 | 関節リウマチ |
3 | 筋萎縮性側索硬化症 |
4 | 後縦靭帯骨化症 |
5 | 骨折を伴う骨粗鬆症 |
6 | 初老期における認知症 |
7 | 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病 |
8 | 脊髄小脳変性症 |
9 | 脊柱菅狭窄症 |
10 | 早老症 |
11 | 多系統萎縮症 |
12 | 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症 |
13 | 脳血管疾患 |
14 | 閉塞性動脈硬化症 |
15 | 慢性閉塞性肺疾患 |
16 | 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症 |
では要介護・要支援認定はどのようにして受けるべきなのでしょうか。まずは要介護・要支援認定を受ける方法からお伝えしましょう。
要介護認定を受ける方法
要介護・要支援認定とは簡単にいうと「介護が必要である」と認められることです。そのために第三者からの調査を受けます。その結果、介護の必要なレベルを表す「要介護度」が判定されます。
要介護認定は市区町村に申し込みます。すると認定調査員という職業の人が自宅や病院などを訪れ直接、対象者に質問をしながら進めていくのです。またその後、有識者を集めての協議によって最終版の判定がなされ、要介護・要支援度が決まります。
レベルは要支援1~2と要介護1~5の7段階によって表されます。また審査の結果「自立」といって介護の必要がないと判断されることもあります。
介護保険サービスの種類について
介護保険サービスには「居宅介護支援サービス」「通所サービス」「訪問サービス」「短期入所サービス」「地域密着サービス」「施設入居サービス」「福祉用具の購入・レンタル」「住宅リフォーム」などの種類があります。では順番にサービスの内容を見ていきましょう。
居宅介護支援
居宅介護支援とは「ケアプラン」を作ったり、介護の悩み相談に対応したりするサービス内容を指します。
ケアプランとは一言でいうと「介護の計画書」です。1週間単位でいつ、どのサービスを利用するかを決めます。ケアマネジャーが各家族に専属で付き、家族の要望や介護対象者の具合を見ながらサービスの内容や頻度を決めていきます。
その他、必要に応じてケアマネジャーに相談もできます。在宅介護の場合は介護を担当する家族のストレスが大きく、相談できる人が少ないので孤独になりがちです。ケアマネジャーに相談をすることで心身ともに余裕が出ます。
居宅介護支援については、以下の記事で紹介しています。
訪問介護サービス
訪問介護サービスとは職員が介護対象者の自宅を訪問して、食事や入浴などの介助をしたり、医療的なチェックをしたりするサービスです。
在宅介護も毎日、つきっきりで要介護者を見守るわけにはいきません。ストレスを溜めすぎないためにも、ときには外食など自分の楽しみを消化する必要があります。そんなときに訪問サービスを使うことで安心して外出できるのです。
訪問介護サービスの全体的な説明について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
訪問介護
訪問介護とは通称「ヘルパー」と言われる介護職員が直接自宅を訪問して家事のサポートや入浴、食事の介助などをするサービスです。自分ではなかなか手が回らない部分の家事うや日常生活の介助を任せることで、より安心して生活ができます。
また定期的にヘルパーとコミュニケーションを取ることで、認知機能を保つことにつながりますし、生活に張りが出るきっかけにもなるという副次的なメリットもあります。
訪問介護については、以下の記事で紹介しています。
訪問看護
訪問看護とは、看護師や理学療法士、作業療法士などが自宅を訪問して生活介助だけでなく、医療的なサポートをするサービスです。脈拍や体温などの計測、点滴や注射などの処置、褥瘡のケア、また簡易的なリハビリテーションまでをしてくれます。
自分や家族では手が回らない医療的な側面まで見てくれるので、疾患のある人におすすめのサービスです。
訪問看護については、以下の記事で紹介しています。
訪問リハビリテーション
しっかりと機能訓練をして、機能の向上や現状維持を目指したい人におすすめなのが訪問リハビリテーションです。作業療法士や理学療法士などのリハビリのプロが自宅を訪問し、利用者に合わせて機能訓練をサポートします。
運動だけでなく口腔機能に関するリハビリにも対応できるのが魅力です。そのほか、必要に合わせて簡単な介助などもできます。
訪問リハビリテーションについては、以下の記事で紹介しています。
夜間対応型訪問介護
要介護の場合、18時以降の夜間の時間帯にトラブルが起きてしまうことも多々あります。夜間の時間帯にも安心して生活を続けるために利用できるが夜間対応型訪問介護です。18~8時の時間帯で専門の介護職員が自宅を訪れて介護のサポートをしてくれます。
褥瘡の予防やベッドから落ちた際の対応、徘徊の予防などに役立てることができるサービスです。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
24時間体制で要介護の人に対処できるサービスが定期巡回・随時対応訪問看護介護です。疾患がある人をはじめ、いつ体調が急変するか分からない人に備えられます。家族としては安心して介護ができるところにメリットがあります。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護については、以下の記事で紹介しています。
居宅療養管理指導
医療的なケアが必要な人のために医師や看護師が自宅で健康の診断や指導などをするサービスが居宅療養管理指導です。病院に行かずして医療的なケアの方向性を決められますので、体力の落ちた人におすすめできるサービスです。
通所サービス
通所サービスとは自宅から施設に通うサービスです。施設に通うことで、運動にもなりますし、現地では利用者がたくさんいます。
介護や看護をしてもらえるだけではなく、コミュニケーションを通して認知機能を鍛えることにもつながるのです。また在宅介護の場合は介護担当者の負担を軽減することにもつながります。
通所サービスについては、以下の記事で紹介しています。
デイサービス
デイサービスとは必要なときに施設に足を運び、介護や機能訓練などを受けるサービスです。日帰りで利用するものでなので、必要な時に必要な時間だけ利用できるのが魅力です。食事や入浴の介護はもちろん、利用者みんなでレクリエーションやアクティビティの利用もできるので、他者との接点も持てます。関わりがあることで認知症予防にも効果的です。
デイサービスについては、以下の記事で紹介しています。
地域密着型通所介護(小規模デイサービス)
地域密着型通所介護は地域密着型サービスの1つとしても数えられます。その地域で暮らす人しか利用できないので小規模なのが特徴です。濃密な介護を受けられますし、住み慣れた街でサービスを受けられるのも大きな魅力といっていいでよしょう。
地域密着型通所介護については、以下の記事で紹介しています。
認知症対応型通所介護
認知症の人に特化したデイサービスです。認知症の人にとって、言葉を交わしたり、他の人とレクリエーションをしたりすることは認知機能の衰えを防止するうえでも非常に効果的なアクションになります。
認知症対応型通所介護については、以下の記事で紹介しています。
通所リハビリテーション(デイケア)
デイケアはデイサービスと混同されることも多いサービスになります。デイサービスが食事や入浴などのか全般を指すのに比べてデイケアはリハビリに特化したサービスです。運動機能の訓練ができるので、今後の運合機能の現状維持に貢献できます。
デイケアについては、以下の記事で紹介しています。
短期入所型サービス
短期入所型のサービスとは、普段は在宅介護をしている人が数日~数週間だけ施設に入所するサービスです。
その期間はプロの介護職員や理学療法士、作業療法士などからケアが受けられます。また介護を担当している家族としても息抜きに旅行などができるのが魅力です。
短期入所サービスについては、以下の記事で紹介しています。
短期入所療養介護(医療型ショートステイ)
ショートステイのなかでも医療的なケアが必要な人が利用するのが医療型ショートステイです。介護老人保健施設などに短期間だけ入居することで医師や看護師などのもと、安心して療養ができます。
短期入所生活介護(一般型ショートステイ)
医療的なケアではなく、日常的な介助が必要な場合は一般型ショートステイを用います。単に「ショートステイ」と呼ばれることもあります。食事や入浴などの日常での介助はもちろんのこと、リハビリなども受けられるのが特徴です。
その他のサービス
ここまで施設にまつわるサービスをご紹介してきました。このほかにも介護保険を用いることができるサービスはさまざまあります。では具体的にサービスの内容についてご紹介しましょう。
福祉用具のレンタル
在宅介護などの際に必要になる福祉用具をレンタルする際には保険が適用されます。ただし保険適用内の福祉用具は厚生労働省によって定められておりますのでご注意ください。必ず事前に確認をしておきましょう。
保険適用内でレンタルできる福祉用具
- 車いす
- 車いす付属品
- 床ずれ防止用具
- 手すり
- 歩行器
- 認知症老人徘徊感知機器
- 移動用リフト(つり具の部分を除く)
- 自動排泄処理装置
- 特殊寝台(電動ベッド)
- 特殊寝台(電動ベッド)の付属品
- 体位変換器
- スロープ
- 歩行補助つえ
福祉用具の購入
もちろん、レンタルだけでなく、購入する際も介護保険が適用されます。以下の4種類に関しては保険の範囲内で購入できますので、覚えておきましょう。
保険適用内で購入できる福祉用具
- 腰掛便座
- 自動排泄処理装置の交換可能部
- 入浴補助用具
- 簡易浴槽
- 移動用リフトのつり具の部分
住宅リフォーム
介護が必要になった人にとってケガをする恐怖はいたるところにあふれています。小さな段差や滑りやすい床など大ケガのもとになるため、リフォームによってリスクを最小限にすることが重要です。この際のリフォーム費用も、内容によっては保険適用内です。
では保険適用内のリフォ-ムについて一覧でご紹介します。
介護保険適用内の住宅リフォーム
- 手すりの取り付け
- 段差の解消
- 滑りの防止および移動の円滑化などのための床、または通路面の材料の変更
- 引き戸等への扉の取替え
- 洋式便器等への便器の取替え
- 上記の住宅改修に付帯して必要な住宅改修
介護サービスをうまく利用してストレスを軽減しよう
このように介護保険サービスはさまざまあります。在宅介護の際は介護を担当する家族に負担が集中しますので、必要に応じて介護保険サービスを利用しながら心身の負担を軽減しましょう。
このカテゴリの記事を全部見る
最後に「介護保険サービス」に関する記事を一覧で掲載します。あらためて気になる記事をご覧ください。
在宅介護について
居宅介護支援について
訪問サービスについて
通所サービスについて
短期入所サービス(ショートステイ)について
訪問介護について
訪問看護について
訪問マッサージについて
居宅療養管理指導について
夜間対応型訪問介護について
訪問リハビリテーションについて
訪問入浴介護について
デイサービスについて
デイケアについて
認知症対応型通所介護について
地域密着型通所介護について
短期入所療養介護について
定期巡回・随時対応型訪問介護看護について
小規模多機能居宅介護について
福祉用具貸与について
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四国 [2056]
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九州・沖縄 [7729]
この記事のまとめ
- 介護保険サービスを用いることで自己負担額は1~3割で済む
- 「訪問」「通所」「短期入所」などサービスの種類は豊富
- 在宅介護のストレスを軽減するためにも介護保険サービスは有効
豊富な施設からご予算などご要望に沿った施設をプロの入居相談員がご紹介します