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おすすめの高齢者レクリエーションはありますか? 室内でできるゲームなど

私と主人の親が高齢になってきて、認知症になってしまうのではないかと心配です。また、私たち自身もそこまで若くないため、近い将来認知症になってしまう可能性がないとは言い切れません。少しでも認知症のリスクを軽減させるために有効な高齢者レクリエーションがあったら教えてください。

A認知症のリスクを軽減させるためには、脳トレをするのが効果的です。

認知症のリスクを少しでも軽減させるためには、脳トレが効果的です。脳トレであれば室内でもできるので気軽に取り組めるでしょう。介護施設で取り入れられているような脳トレ系高齢者レクリエーションは特におすすめです。穴あきしりとりや糸電話伝言ゲームなどは比較的取り入れやすいレクリエーションです。

平栗 潤一
平栗 潤一
一般社団法人 日本介護協会 理事長

認知症になってしまうと、生活に様々な支障が出てしまいます。在宅生活が難しくなった場合はデイサービスを利用したり、グループホームや特別養護老人ホームなどに入居したりします。

家族が認知症になった経験がないとどのような原因でなってしまうのか分からないという人もいるでしょう。そこで今回は、認知症になってしまう原因や脳トレが効果を発揮する理由、認知症の予防に効果的な室内でできる高齢者レクリエーションについてご紹介します。

認知症とは?代表的な種類について

認知症になると、脳の働きが低下し、記憶障害を引き起こします。ついさっき食事をしたのに忘れてしまったり、会った人の名前を忘れてしまったりするのです。また、今いる場所や時間が分からなくなる見当識障害や財布を誰かに盗まれたという物盗られ妄想、近所を目的無く歩き回る徘徊など、家族を困らせるような行動をしてしまうケースは珍しくありません。

そのような症状が現れる認知症にはどのような原因があるのでしょうか?

アルツハイマー病

アルツハイマー病は、認知症の原因として最も多い病気として知られています。アルツハイマー病によって引き起こされる認知症は、アルツハイマー型認知症と呼ばれるのです。アルツハイマー型認知症は、大脳の前頭葉にある海馬が萎縮するのが原因で、画像診断をした時に老人班と呼ばれる変化が現れるのが特徴の1つにあげられます。

アルツハイマー病になると、物忘れから始まるケースが多いです。物忘れが次第に進行していき、大脳の機能が弱っていくと寝たきりになってしまう可能性も高くなっています。治療を行うことによって進行のスピードはゆるやかにできます。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、前頭葉と後頭葉が萎縮し、活動が低下することによって発症する病気です。リアルな幻視が起きるという特徴があります。幻視以外には、手の震えや小刻み歩行、手足のこわばり、表情が乏しくなるといったパーキンソン病のような症状、便秘や失禁、立ち眩みといった自律神経症状を伴うケースが多く見られます。

前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症は、様々な判断をする前頭葉や側頭葉が萎縮することで発症する病気です。それまで当たり前に守っていた社会のルールに合わせた行動ができなくなってしまったり、人前で排泄してしまったりするようになります。また、落ち着きがなくなって同じ行動を繰り返しやすくなりますが、物事に対して関心を持てなくなってしまうケースもあります。

血管性認知症

血管性認知症は、脳の血管が詰まったり、破れたりすることが原因で発症する病気です。物忘れをするようになるだけではなく、手足の震えや麻痺といった運動障害が見られます。症状が現れたり消えたりするまだら症状が見られるケースも多く、血管を拡張するための薬や血液を固まりにくくする薬を使用すると改善する可能性が高いです。

甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症になると、全身の倦怠感や気力の低下、体のむくみなどが現れます。さらに、物忘れのような認知症症状が見られるケースもあります。甲状腺機能低下症による認知症症状の場合は、甲状腺ホルモン製剤を服用することで改善が期待できるので処方されることが多いです。

慢性硬膜下血腫や正常圧水頭症、脳腫瘍など

慢性硬膜下血腫や性常圧水頭症、脳腫瘍などが原因で認知症になってしまうケースもあります。転倒して頭をぶつけた後に認知症症状が現れた場合は、慢性硬膜下血腫や硬膜外血腫が原因として考えられます。脳脊髄液によって脳の組織が圧迫されている正常圧水頭症の場合は、認知症症状だけではなく失禁や歩行障害なども現れることを覚えておくと良いでしょう。

認知症にはこのように様々なタイプがあります。認知症の種類についてより詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

認知症が進行する要因

まずは認知症が進行してしまう原因について紹介します。「なぜ脳トレが効果を発揮するのか」という問題にもつながりますので、あらかじめチェックをしておきましょう。

思考や判断をしなくなってしまうから

思考や判断能力をしないと脳の機能は衰えてしまいます。この背景には周りに叱られてしまった結果、思うように行動ができなくなったり、行動を制限されたりしてしまう状況もあります。

人との関わりを失ってしまうから

傷つくのが怖くて人との関わりが薄れてしまう可能性もあります。周りとのコミュニケーションが取れなくなってしまうと、そのぶん脳への刺激がなくなってしまい、認知症が進んでしまうこともあるのです。

うつ状態になってしまうから

認知症によって無気力な状態になってしまうと、さらに周りとのコミュニケーションを取らず、自発的な行動も起こせなくなってしまいます。その結果、さらに思考力が下がってしまうことにつながるのです。

脳トレが効果的な理由

このように認知症が進んでしまう、または認知症になってしまう原因はさまざまです。特にアルツハイマー型認知症の場合は脳トレをすることによってリスクを軽減できます。では、どうして脳トレで認知症リスクの軽減効果に期待できるのかについて理由を解説していきましょう。

脳の機能を活性化させる

脳トレには、脳を活性化させるという目的があります。脳の細胞は年齢を重ねるごとに減少していき、思考力や記憶力が低下してしまうのは仕方ないことです。なくなってしまった脳細胞を再生することはできません。しかし、刺激を与えることで残された脳細胞同士の神経ネットワークが強固なものとなり、脳機能の低下スピードを遅くできると言われています。

そのため、頭を使って考えるレクリエーションやゲームは、認知症予防にも効果的だと考えられるでしょう。認知症が発症している人でも、頭を使って考える脳トレをすると進行のスピードが遅くなる効果も期待できます。

好きなことをするのも脳の機能を向上させる

高齢者レクリエーションの中で好きなことをするのも脳の機能向上につながります。苦手なことを無理にするよりも、好きだと感じることを毎日継続した方が脳に良い影響を与えるのです。脳に良い影響を与えることは認知症の予防につながるだけではなく、毎日の生活の質も上がっていきます。

例えば、生け花が好きな方であれば、毎日素敵な花が飾られていることに喜びを感じるでしょう。花の世話をすることで生活にメリハリが生まれたり、家族との会話が増えたりするといった効果も期待できますよ。

生活のなかに張り合いを持てる

ゲームやレクリエーションをすると、脳の機能や身体機能が向上するという効果だけではなく、精神状態も良くなる可能性が高いです。楽しみながら参加すると自然と笑顔に慣れて、「またやりたいな」とか「楽しいから次はもっと上手にできるようになりたい」といった前向きな気持ちが出てきます。

認知症になると毎日の生活が単調になりがちです。そこにゲームやレクリエーションを加えてメリハリのある生活が送れるようになれば、張り合いも生まれるでしょう。

周りの人とコミュニケーションができる

高齢者レクリエーションは、1人でもくもくと進める工作もありますが、ゲームや脳トレの中には周りの人とコミュニケーションを取りながらできるものもたくさんあります。そのようなレクリエーションであれば、周りの人とのコミュニケーションが増えます。それによって、人と関わることの楽しさを思い出し、引きこもり傾向が改善する可能性があるのです。

認知症予防に効く、高齢者が室内でできる脳トレゲーム

認知症を予防するためには、脳の機能を活性化させることが重要なポイントになります。最後に、認知症予防に効果的な室内でできる高齢者レクリエーションをご紹介しましょう。

ティッシュあおぎ

ティッシュあおぎは、2チームに分かれてテーブルの真ん中に置いたティッシュをうちわで下からあおぐゲームです。相手の陣地にティッシュを送り込めたチームが勝ちです。

紙コップピラミッド

紙コップピラミッドは紙コップをピラミッドのように高く積み上げていくゲームです。ただ積み上げるだけですが、崩れないようにバランスよく積み上げていくにはどうすれば良いのかを考えなければいけないので、指先の運動や集中力を養うためのトレーニングになります。

おつり計算

おつり計算は、財布の中にはいくら入っているのか、買い物をした場合のおつりはいくらになるのかを考えるゲームです。ホワイトボードなどにお札と硬貨を模した紙を貼ってその合計がいくらになるか、財布に入っているお金を使って買い物をした場合のおつりはいくらなのかを計算します。例えば、「1,200円財布に入っていて650円分の買い物をするといくらになりますか?」と質問し、答えてもらうといった形です。

仲間外れ探し

仲間外れ探しは、1つだけある仲間外れを見つけるゲームです。「純、催、紺、絵の中で仲間外れはどれか(答えは、糸偏ではない催)」、「扇風機、うちわ、扇子、マフラー(答えは、冬に使うマフラー)」「る、ま、フ、く(答えは、平仮名ではないフ)」といった問題が仲間外れゲームの例題になります。

都道府県当てクイズ

都道府県当てクイズは、写真を見てどこの都道府県か当てるゲームです。北海道だったらラベンダー畑やジンギスカンなど、富山県ならアルペンルートや薬売りなどの写真を見ると分かりやすいです。さらに、その都道府県に行った思い出などを語り合う時間を設けると、コミュニケーションのきっかけにもなります。

穴あきしりとり

穴あきしりとりは、空欄を埋めて3文字のしりとりを完成させていくというゲームです。へちま→〇〇〇→ラムネとなっていた場合は、まくらなどの言葉が入ります。どのような言葉が入るのか、3文字で収まる言葉なのかを考えるため、脳の活性化に役立ちます。

糸電話伝言ゲーム

糸電話伝言ゲームは、糸電話を使って最初の人から伝言していくゲームです。お題は何でも良いので、「今日のお昼はカレーライス」とか「今日は雨降りです」、「今日は晴れていて気持ちがいいです」といった言葉を伝えていきます。前の人が言った言葉を忘れないようにするため、記憶力を鍛えられます。

計算鉛筆

計算鉛筆は、自宅でもできる脳トレです。鉛筆に白いビニールテープを張り、マジックペンで数字を書きます。鉛筆を転がして一番上に見えている数字を計算するというルールです。鉛筆の数を増やせば足していく数字が増えるので難易度が上がっていきますが、脳の活性化には最適です。

風船に書かれた文字当てゲーム

風船バレーをしながら、風船にかかれた文字を当てるゲームです。風船バレーとは、バレーボールの代わりにゴム風船を使い、床に落ちないように手や腕を使って打ち上げ続ける遊戯です。指や手先を使うことで、脳に刺激を与えると同時に体を動かすので身体機能の維持にもつながります。さらに、文字当てゲームを取り入れることで、より脳を働かせられます。

指折り数えて

指折り数えては、グーパー体操の難易度を少し高めたゲームです。指を折って数を数えながら手を前に出したり、胸元に引っ込めたりします。手を前に出す時に指を折って数を数え、胸元に引っ込める手はグーにします。5まで数えたら全ての指が折れるため、そこからは指を1本ずつ開いていっても良いでしょう。

鵜を探せ

鵜を探せは、ホワイトボードにランダムに書かれたひらがなの中から「う」を探すゲームです。ランダムに書かれているためどこに「う」がいるのか目を凝らして探さなければいけません。考えながら探すため、脳の活性化が期待できます。

犬猫鳴き声ゲーム

犬猫鳴き声ゲームは、介護職員が犬と言ったらワン、猫と言ったらニャーと答えるゲームです。最初に犬と猫も鳴き声について質問するのがポイントになります。慣れてきたら、介護職員がワンと言ったら犬、ニャーと言ったら猫と答えるようなアレンジをしても良いでしょう。

この音はどの硬貨?

この音はどの硬貨?は、聴覚を刺激するレクリエーションです。目隠しをして見えないようにしながら、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、500円硬貨のどれかをテーブルに落とします。その時の音を聞いてどの硬貨なのか当てていきます。硬貨によって大きさや重さが違うので、音もそれぞれ少し異なります。どの音がどの硬貨なのか、硬貨の特徴を思い出しながら音を聞き分ける必要があるので、耳だけではなく脳も使うゲームです。

田植えレクリエーション

田植えレクリエーションは、手指を刺激して脳を活性化できます。

本物の田んぼでの田植えはできないので、新聞紙を稲の苗に見立てて、ペットボトルに植えていくレクリエーションです。新聞紙の稲の苗を作るために、紙を切るなど手先を使うことで脳を刺激します。

パソコンを使ったタイピング

室内でできる高齢者レクリエーションとして、パソコンを使ったタイピングを取り入れるケースもあります。ことわざなどを指定して入力してもらいます。1本指でゆっくりとでもタイピングをすることで脳の活性化につながるため、認知症予防にも効果が期待できるでしょう。

ストリートビューを使ったリモート旅行

パソコンを使えるのであれば、ストリートビューを使ったリモート旅行もおすすめです。実家がある都道府県にも行った気分になれ、故郷を思い出していろいろな話をするきっかけになります。故郷を思い出すという行為自体が脳を刺激するので、脳の活性化に役立ちます。

室内ゲームなどのレクでいつまでも元気に

認知症は、アルツハイマー病が原因となるアルツハイマー型認知症が最も多くなっています。認知症になってしまうと、物忘れが激しくなってしまい、最終的には家族の存在も忘れて誰だか分からなくなってしまいます。それはとても悲しいことなので、できることなら認知症になるリスクを軽減したいと思うものです。

認知症のリスクを軽減するためには、脳トレがおすすめです。高齢者レクリエーションやゲームをすることで、脳細胞が活性化していきます。それによって、認知症になるリスクを軽減したり、認知症になってしまったとしても症状の進行を遅くしたりできます。

脳トレは室内でもできるので、自宅でも気兼ねなく楽しめるでしょう。今回紹介した高齢者レクリエーションはどれも取り入れやすいものばかりなので、できそうなものから始めてみてください。

平栗 潤一

この記事の監修

平栗 潤一

一般社団法人 日本介護協会 理事長

大手介護専門学校にて教職員として12年勤務し、約2000名の人材育成に関わる。その後、その経験を活かし、認知症グループホームや訪問介護、サービス付き高齢者向け住宅などの介護事業や、就労継続支援B型事業所や相談支援事業所などの障がい福祉事業を運営。また一般社団法人日本介護協会の理事長に就任し、介護業界の発展を目指して活動中。

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